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The stray sorcerer -はぐれ魔術師冒険記-

第12話 内戦! 帝国軍とストームクローク!

昼が近づいたころ、俺たちはドラゴン・ブリッジに辿り着いた。

「こんな場所に村があるだなんて…すごいところですわね…」

ドラゴン・ブリッジは、その名のとおり、竜を模した巨大な橋で有名な村だ。
カース川をまたぐこの橋は、かなり古い時代から存在することはわかっている。
だが、いつ頃作られたかなど詳しいことはわからないという。

「セラーナは、この橋のこと、何か知らないか?」
「残念ですけど、存じ上げませんわ。 でも、とても立派な橋ですわね」

竜を模した橋。
スカイリムの遺跡には竜の文様が見られるが、この橋もドラゴンに関係のあるものなのだろうか。

01竜を模した巨大な橋

「だいぶ時間がかかりましたわね。 さ、宿を探しに行きましょう。
 今夜の旅は、わたしも疲れましたわ…」
「そうしよう。 俺も少し…疲れたからね。 ふあぁぁあ…」
「あら、大きな欠伸ですこと」

ドラゴン・ブリッジに辿り着くまでの旅は、想像以上にハードな旅だった。
何とか無事に辿り着いたものの、俺とセラーナの疲労はピークに達していのだ。









ショールズレスト農場の近くで山賊を撃退した俺たちは、坂道を下りきった先で山賊の根城を見つけた。
川の向こう側で、山賊たちが旅人を待ち受けるこの場所を、ロリクステッドでは『追いはぎ峡谷』と呼ぶそうだ。

彼らは街道を挟んだ崖を用いて砦を建てており、近付くだけで弓で狙い撃ちされるのは確実だった。
さらに砦に侵入するには川を跨ぐ橋を渡るしかなく、非常に攻めにくい。

そこで、俺たちはリュシアンの助言に従い、迂回路を通ることにしたのだった。

02追いはぎ峡谷

迂回路とは、橋を渡らずに川辺を歩く道だった。
この川は街道に沿って流れているため、川から離れなければ道を見失う心配はないのだ。

もっとも、決して安全な道というわけではない。
道中では番いのサーベルキャットに襲われるなど、結構な危険に逢いながらの旅路だった。

03番いのサーベルキャット

迂回路から街道へ戻るためには川を渡らなければならないが、リュシアンは橋を使わずに川を渡る方法も教えてくれていた。
この川には、流れが穏やかで、川幅の狭い中州があるのだ。
中州を囲む川は跳び越えられる程度の幅しかないため、ここから川を跳び越えることができるという。

中州の場所は、古代ノルドの遺跡と小さな滝が目印らしい。
俺たちは目印の遺跡と滝を見つけると、その先にあった中州を飛び越え、街道へと戻ったのだった。

04目印の遺跡と滝

無事、街道へと戻った俺たちだったが、道中はまだまだ穏やかではなかった。
街道に荷車が留まっていると思ったら、その傍らに男女の死体が転がっていたのだ。

積み荷はほとんど無事であり、馬まで一緒に殺されているなど、不可解な現場であった。
女性の懐から落ちた日記から、二人が夫婦であり、帝国の積み荷をホワイトランへ届けるところだったことがわかった。
また、この道では被害に逢う旅人が後を絶たず、かなりの行方不明者が出ているそうだ。
単に山賊の仕業という者もいるが、ゴブリンなどの仕業であるというウワサもあるという。

遺体に突き刺さった矢は、何やら見慣れない外見で、見た目以上に重く、硬い素材で作られていた。
どうやら生物の骨か牙を用いたもののようだが、何の生物のものかはわからなかった。
明らかに山賊の仕業ではない。
一体誰が、何の目的で、この夫婦を殺害したのだろうか。

05不可解な現場

とにかく、この道が非常に危険な道であることは間違いない。
弱体化した帝国には、この街道の治安を保つ余裕がないのであろう。
ここでも、内戦の影響が民衆を苦しめているようだ。









「四つの盾の看板…ありましたわ。 ここですわね」

村には宿を提供している居酒屋『フォー・シールズ』があった。
橋の袂で薪割りをしていた木こりに宿を訪ねると、ここを紹介された。
大盛りの食事を提供するなど、田舎の村にしてはサービスに力の入った店なのだそうだ。

「食事は大盛りかぁ。 腹も減ったし、ちょうどいいかもな」
「わたしも、たまには多めに食べてみようかしら?
 量だけじゃなく、美味しい食事だと良いのですが」

大盛りメニューの話題で会話を弾ませる俺たち。
だが、店に入ろうとするところで、何やら衛兵たちが騒いでいることに気が付いた。

「逃げられると思うな!!」
「降参するなら今のうちだぞ!!」


村の出口で、衛兵たちが何者かを追いかけていくのが見えた。
逃げているのは、青いマントの男…その背中には、熊の紋章があった。
あれは…ストームクロークの紋章だ!

06フォー・シールズ

「くっ…! もはや…これまで!」

逃げられないと悟ったストームクローク兵は、死を覚悟した。
だが彼は、命乞いをしなかった。
振り返ると同時に背負っていた大槍を構え、衛兵たちに向かい合ったのだ。

「ウオォォォッ!」
「何っ!? うわっ!?」


飛び交う矢が体を掠めても構うことなく、真っすぐに突き進むストームクローク兵。
まさかの猛反撃に、衛兵たちが一瞬怯む。

「勇敢だな。 …いいだろう、私が相手になってやる!」

どよめく衛兵たちをかき分け、弓を構えていた衛兵の一人が手にした弓を投げ捨て、剣を抜いた。

ストームクローク兵は、もはや投降するか、殺されるかしかないと思われた。
だが彼は、その状況にあっても戦うことを選んだ。
衛兵はその剣で、彼の最後の勇気に『決闘』で応えようというのだ。

「勝利か…ソブンガルデだッ!!」
「ノルドの誇りにかけてッ!!」


07ストームクローク兵

二人の兵士の戦いは、とても激しい戦いだった。
一進一退の攻防は、どちらが勝ってもおかしくなかったが…最後はわずかに、衛兵の剣が勝った。
致命の一撃がストームクローク兵の胸を貫き、勝負が着いたのだった。

「これで…俺も…ソブン…ガル…デに…」

ストームクローク兵の手から大槍が滑り落ち、その体がゆっくりと倒れ伏す。
誇り高き戦士は、ソブンガルデへと旅立った。









「やったな! 見事な戦いだったぞ!」
「野営地から偵察に来ていたのか…油断のならない連中だ。
 それにしても、とんでもない男だったな。 あの状態で戦おうとするとは…」
「敵ながら、立派な最期だった…!」

倒れたストームクローク兵を見ながら、衛兵たちが口々に強き敵兵の最期を讃えた。
ノルドの気質なのだろう、彼らはたとえ敵兵であろうとも、戦いの場で勇気を示した者には敬意を表するのだ。
称賛すべき戦いを讃え合う衛兵たち。
だが、彼と戦った衛兵だけは、血に染まった青い鎧の兵士から目が離せなくなっていた。

「どうした? これほど見事な戦いをしたんだ。 もっと胸を張っても…」
ノ…ノルビョルン…どうして…お前が…!?」
「何だって…? お前まさか、この男を知っているのか?」


衛兵が倒したストームクローク兵の正体は、彼の、かつての友人だったのだ。
友を殺したことに気付いた衛兵は、その場でがっくりと膝をついてしまった。

「友よ…! 私は…なんてことを…ああ…!!」

それまで彼らの戦いを称賛していた仲間たちも、悲痛な叫びをあげる彼を見て、黙ってしまった…。

08かつての友

「…勇敢な戦士への、せめてもの手向けだ。 彼の墓を作ってやろう。
 敵兵ゆえ、村の中に作るわけにはいかないが…村はずれの、日のよく当たる場所に埋めてやれ。
 ヴォルカス、この任務はお前に任せる。 いいな?」
「隊長…ウウ…ありがとう…ございます…」

衛兵たちは、ストームクローク兵の遺体を丁重に運び出していった。
その様子を、俺とセラーナは静かに見送った。

「…行こうか、セラーナ」
「そうですわね…」

知らぬ間に敵同士となった二人の男。
勇気ある衛兵は、顔の見えぬ兜の内側で、ひっそりと涙を流していた。

戦争がまた一つ、悲劇を生み出した瞬間だった。









夜になり、フォー・シールズを出た俺たちは、ソリチュードを目指して歩き始めた。

「しばらく登り下りが続くけど、ソリチュードはもうすぐだよ」
「ようやくですわね。
 後は、島へ渡るためのがあれば良いのですけど…」
「船なら、へ行けばどうにかなるはずだよ。
 ソリチュードに着いたら、港へ行って船乗りたちに聞いてみよう」

ソリチュードに、帝国ご用達の海運業者『東帝都社』が拠点にしている港がある。
この港はウィンドヘルムの港と並び、スカイリムの物資輸入の要となる大きな港だ。
船を手に入れるには絶好の場所だろう。

「あら…? シン、空を御覧になって。 とってもキレイですわよ」

セラーナに言われて夜空を見上げると、美しい光のカーテンが空一面を覆っていた。
オーロラだ。

「おお…すごいな、こんなに大規模なオーロラは久しぶりに見たよ」
「今夜は良いお天気ですわね。 …星もよく見えますわ」
「オーロラに星か。 こいつはキレイだな」

空一面の光のショーを見ながら、俺たちは街道を歩いて行った。

09光のカーテン

「…? ん、ンン…」

セラーナが何やら不満そうだ。
一体どうしたのだろう?

「ん? どうした、セラーナ?」
「…こういう時は、『でも、キミの方がキレイだよ』と言うのが、殿方の定番の台詞ではありませんの?」
「エッ!? なにソレどこ情報!?」
「はぁ…あなたに気の利いた台詞を期待したわたしがバカでしたわ…」
「え、え~と…なんか、ゴメン…」

勘弁してください。 そんな歯の浮くような台詞を言う柄じゃありませんヨ。
セラーナは、やはりお茶目なお嬢さんだった。









「着いたぞ、ソリチュードだ」
「結構な長旅でしたわね。 でも、あとは船を探すだけですわ」

夜も更けた頃、俺たちはソリチュードの城下町に辿り着いた。
ソリチュードはスカイリムの首都だけあって、ホワイトラン以上によく栄えた街となっている。
陸路の便こそ良くないが、大規模な港があるだけに物の流通は良く、大抵の物は手に入るようだ。

「大きな街ですわね…。
 お城からは、山並みの向こうにソリチュードが見えていましたの。 あの頃に思い描いていた通りの街ですわ」
「そうか、それは…
 って、『お城』? セラーナの家って、お城なのか!?」
「? …そうですわよ? それが何か?」

…どうやらセラーナは、俺が思っていたより遥かに『いいトコのお嬢さん』らしい。
彼女の立ち振る舞いを見れば想像は着くが、まさか自宅が『お城』とは…!

セラーナの親御さんって、一体どんな人なのだろうか。
まるで、結婚前に親父さんと対面する男のような気持ちになった俺は、ちょっとだけ胃が痛くなった。

「シン? どうかしましたの?」
「何でもない。 き、気にしないでくれ…」
「?」

10ソリチュードだ














次回予告
第13話 帰宅! セラーナと太古の城。

11次回予告:帰宅!
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テーマ:Skyrim - ジャンル:ゲーム

  1. 2016/05/20(金) 21:04:59|
  2. スカイリムRP シン
  3. | コメント:5
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コメント

あとがき

やっとの思いで辿り着きましたソリチュード!

今回の道のりは、なかなか大変な思いをしました。
追いはぎ峡谷の山賊との戦いを避けようと、橋を渡らないコースを選んだものの、サーベルキャットに襲われるわ、マッドクラブに突かれるわ、背後から突然現れたクマやオオカミに噛みつかれるわ…。
エルダーグリーム聖域やリフテンへの旅より、危険がいっぱいな道でしたw

どうにかドラゴン・ブリッジに着いたと思ったら、ソリチュードに続く出口付近でなぜか戦闘が発生。
衛兵たちが何と戦っているのか見に行くと…岩を越えた遥か向こう側の、野営地にいるストームクローク兵に反応していたのでした。
どんな千里眼だよお前ら…(・ω・`;)

しかし、この事件をそのままにするのは『MOTTAINAI』と考え、急遽内戦関連のネタとして採用。
思った以上にシリアスな場面にできたので、ちょっと満足してます。(A`*)b


さて、次回はついにセラーナ嬢がご帰宅!
ハルコンパパとの対面が秒読みとなり、シンくんの冷や汗が止まらない?

「お、お父さん! セラーナを…僕にください!」
「うるさい! どこの馬の骨ともわからん男に、娘をやれるか!」

そんな展開が待って…いません。(・∀・)+
乞うご期待w
  1. 2016/05/20(金) 21:10:34 |
  2. URL |
  3. シン #JalddpaA
  4. [ 編集 ]

戦争の悲劇・・・

更新お疲れ様です~!
今回は内戦による悲劇のお話でしたね・・・
かつて友だった男が知らぬ間に敵になる。
戦争なんてやっぱり何も生まないと言う事がハッキリと分かります(´・ω・`)
偶然だったとは言え、丁度良いシチュエーションにめぐり合えましたね!(´∀`)
これが帝国軍兵士だったら遺体をその辺に捨てるんだろうなーとか考えると少し切なくなりました・・・。

次回はいよいよハルコン卿とのご対面・・・!
シン君、しっかり!!
  1. 2016/05/21(土) 13:03:44 |
  2. URL |
  3. フィロン #-
  4. [ 編集 ]

Re: フィロン さん

いやはや、村をうろついていたら突然戦闘BGMが流れ出したので、何事かと思いましたw

考えてみれば、ドラゴン・ブリッジはストクロ野営地が目と鼻の先にある村。
兵が偵察にやって来たり、街道周辺で小競り合いがあっても、何ら不思議はないんですよね。

これまで内戦に関わる出来事は、帝国軍に連行されるストクロ兵を目撃したこと、奪われたアモル砦をストクロが奪還できずにいたことぐらいでした。
思ったより内戦が遠い場所の事件になっている気がしたので、この機会に『今は内戦中』という残酷な現実を描いてみました。

シンくんは内戦に直接関わることはありませんが、様々な形で戦争と向き合っていきます。
今回は、そのエピソードのひとつということで、覚えていていただけると嬉しいです^^


そしてついに、次回はセラーナさん宅にご訪問です。
ハルコンパパ(威圧)を少しでもなだめるためには、菓子折りの一つでも持って行くべきかしらん?
  1. 2016/05/21(土) 21:35:25 |
  2. URL |
  3. シン #JalddpaA
  4. [ 編集 ]

Nadiaでございます♪( ´▽`)

ロリクステッドからソリチュードまで、普通に歩いても確かに結構距離ありますよね(;´Д`A
それらを事細かに説明しつつも、物語りを綴っていくのは結構大変だと思います♪( ´▽`)

セラーナさんのシンくんを困らせた気まぐれなセリフも印象的だったのですが、
ヤッパリ帝国とストクロの小競り合いは結構目立ちましたね♪( ´▽`)

Nadiaは最初は伝達兵かと思ったのですが、後書きで近くのストクロ野営地の方だったとはw
確かあの野営地は奥が崖?道が無かったはずだから、間違って落ちて戻ろうとしたのかな?
ワザワザ遠回りして、ドラゴンブリッジ衛兵の餌食になってしまうとは...チョットかわいそう(>人<;)

そこはシンさんの腕の見せ所で、上手くストーリーに仕上げていましたね(@_@)
さすがです!

無事にゾブンガルデに行けたのは何よりですが、まだアルドュインがいるとしたら幸先が不安ですw

いや今はご冥福をお祈りしましょう
m(_ _)m
  1. 2016/05/22(日) 17:31:05 |
  2. URL |
  3. Nadia #-
  4. [ 編集 ]

Re: Nadia さん

箱入り娘なセラーナさんは、その知識の大半が『本』からなので、ちょっと偏った知識になっています。
本の知識と現実のギャップが引き起こす、セラーナさんのちょっとズれた言動にも、ぜひ注目してください!d(>ω<*)+

さて、村の入口に現れたストクロ兵ですが、実プレイではあの位置にストクロ兵はいませんでした。

実際には、ストクロ兵は野営地の南端あたり、衛兵は村の北端あたりで弓を構えてウロウロしていたのですが…。
かなり距離があるうえ、岩山を挟んだ地形ですから、お互い姿が見えないのですがねぇ。
全員、オブリ時代の『スタップさんセンシズ』にでも目覚めたのかしらん?(メ゚д゚)スタァァァップ‼

この謎現象に対応すべく、『野営地から偵察に来たストクロ兵が見つかってしまった』と脳内補完。
登場人物にキャラ付けを加えて、このエピソードを作るに至ったというわけです。
まったく奇妙な事件だったぜ。(;・ω・)

でも、終わってみればなかなか良い出来栄えになりました。
ストクロ兵・ノルビョルンと、帝国の衛兵・ヴォルカス
地味ながらもグっとくるノルドたちを描くことができて、とても満足しています。(。-`ω-)=3

ソブンガルデへ旅立ったノルビョルンが腹ペコドラゴンのランチにならないようにと、アーケイに祈りつつ、ハルコンパパに会いに行こうと思います!(・∀・。)b+
  1. 2016/05/22(日) 20:47:54 |
  2. URL |
  3. シン #JalddpaA
  4. [ 編集 ]

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Author:シン
「The Elder Scrolls V: Skyrim」のロールプレイを公開しています。

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