The stray sorcerer -はぐれ魔術師冒険記-

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第13話 帰宅! セラーナと太古の城。

翌朝、俺たちはソリチュードの市場を散策していた。

「わぁ…活気のある街ですわね。
 ホワイトランとはまた違った雰囲気で、素敵ですわ」


街の散策は、セラーナからの提案だった。
日中の日差しは気になるようだが、彼女自ら街を見てみたいと言ってきたのだ。

01活気のある街ですわね

「(そうか…城からソリチュードを眺めていたって言ってたっけ…)」

吸血鬼である彼女は、外の世界を自由に出歩くことはできない。
ましてやお城の箱入り娘ともなれば、なおさらだっただろう。
彼女にとって外の世界は、きっと憧れの場所だったのだ。







「ソリチュードの風車のことは本で読んだことがありますけど、まさかあんなに大きいなんて!
 太陽の光が恋しいとは思いませんけど…この場所には、この青空が似合いますわね。
 あなたも、そう思いませんこと?」
「ああ、俺もそう思うよ」

赤い風車が、真っ青な空によく映えていた。
ゆっくりと回る風車の音を、街の雑踏がかき消していく。
そんな街の中を、潮の香りの混じった風が吹き抜けていった。

「…今日は風が気持ちいい日だなぁ」
「…ええ。 いい風ですわ」

風を感じながら、セラーナは微笑んだ。
風車は回り、人々の笑い声が市場には響いていた。

02ソリチュードの風車

彼女が、光ある世界を歩けないという現実。
俺は、その現実が憎たらしいと思った。









「吟遊詩人の大学へようこそ!
 私が校長のヴィアルモだ。 ご用件は何かな?」

「おはようございます。
 あなた宛ての手紙を頼まれて、届けにきました」
「私に手紙? どなたからかな?」

一通り市場を散策した俺たちは、ロリクステッドでカンテレちゃんから頼まれた手紙を届けに、吟遊詩人の大学を訪ねた。
大学に入ると、すぐに手紙の受取人であるヴィアルモ校長が出迎えてくれた。

「どうぞ、ロリクステッドのカンテレちゃんからです」
「おお、カンテレからか! 遠いところ、ご苦労だったね!
 彼女の演奏は聴いたかな? 素晴らしかっただろう!」
「あ、ハイ。 たしかに…演奏は、素敵でした」

しまった。
彼女の歌の感想を回避したつもりだったが、これでは逆に感想を言っているようなものだ。

「……まさか…彼女の歌を…聴いたのかね?」
「え、ええ、聴きました…。 なんというか…独特のセンスで…」
「ぬあああぁぁぁっ!!? あンのアホ娘っ!!
 だから歌はダメだって言ったでしょーがっモォォォォッ!!!」
「こ、校長!? お、落ち着いてくれ!!!」


どうやら彼女の『ジャイアン・リサイタル』は、今に始まったことではなかったようだ。
訊けば彼女の歌声は、『マンモスも驚いて空を飛ぶ』らしい。
そうはいっても、演奏の腕前は一流だそうで、歌わないことを条件に研修をさせていたのだそうだ。

床を転げ回って悶絶する校長が何とか落ち着きを取り戻したところで、俺たちは騒がしい大学を後にしたのだった。

03私が校長のヴィアルモだ

「ははは…まったく困った生徒ですなぁ」
「ジラウド…笑いごとじゃないぞ?
 あの子の歌で死人がでたらどうす…む、なんだと?

何気にヒドイことを言いながら手紙を開いた校長だったが、手紙を読み始めてすぐに表情が変わった。
あの手紙には、一体何が書いてあったのだろうか…?

「『P.S. 校長! 私も冒険いきたい! カンテレ』」
「だまらっしゃい!」









「どの船を使うんですの?
「う~ん、そうだな…」
「あっ! シン、わたし、あの大きい船がいいですわ!」
「…」

手紙を届け終わった俺たちは、船を探しに港へ来ていた。
『東帝都社』が拠点にしているこの港には、大小さまざまな船が停泊している。
いくらか金を積めば、乗せてくれる船はきっとあるはずだ。

「大きい船が魅力的なのはわかるけど、島へ渡るだけなら小舟で十分だよ。
 …お、あの船がよさそうだ。 船乗りに声をかけてみよう」
「むぅ…つまらないですわ」

膨れっ面のセラーナだったが、実際そんなにお金はない。
俺は安全に、かつできるだけ安価な足を探すことにした。

04船を探しに港へ

「船が必要なのか? 沿岸の港なら、どこへでも…いや、忘れてくれ」
「あの島へか? 勘弁してくれ」
「ふざけるな!  あんな恐ろしい場所、俺はごめんだ!」

何人かの船乗りに声をかけたものの、島へ出してくれる船はなかなか見つからなかった。
彼らが言うには、その島は呪われていて、ベテランの船乗りでさえ避けて通る場所らしい。

「なかなか見つかりませんわね。 やっぱり、あの大きい船に…」
「だ、大丈夫。 ほら、あそこにもう一人、船乗りがいるよ。
 強そうな顔しているし、彼に声をかけてみよう!」

このままではセラーナの趣味に大金をブン投げることになってしまう。
俺は、今度こそはとすがる思いで船乗りに声をかけた。

「あの島か…。 どうしてもと言うなら、連れていってやる。
 500セプティムでどうだ?」
「よかった、よろしく頼む!」

く…500セプティムだと…!
だが、小舟とはいえ、この船はキレイに手入れされている。
船乗りはしっかりとした身体つきをしているし、船乗りとしての腕は信頼できそうだ。
島へと渡る足としての安全性と確実性十分のはずだ。

「暗くなる前に行きたい。 すぐに乗ってくれ」

俺たちが小舟に乗り込むと、船乗りは早速船を出してくれた。
こうして、俺たちは島への足を手に入れたのだった。

05500セプティムでどうだ?

「…ちなみに、あのデカい船って、借りるのにいくらかかるんだ?」
「あれか? たしか…1500セプティムっていってたな」
「か、借りるだけで1500…だ…と…グフゥ」
「あら? シン、どうしたんですの?」









「見えてきましたわ」
「あれが…セラーナの家?」


辺りがすっかり暗くなった頃、俺たちはハイロックとの境界に近づいていた。
海上の気温はぐんぐん下がり、雪が舞い始めている。
俺は毛皮のマントにくるまりながら寒さに耐えていた。

「そう、あれが…懐かしの、我が城…」

闇の中に浮かび上がる太古の城を眺めながら、セラーナが寂しそうな表情を見せた。
お父さんとの確執のことだろうか。
それとも、別の何かがあるのだろうか。
いずれにせよ、『家に帰ること』は、彼女にとってつらいことであるのは間違いないだろう。

「セラーナ、大丈夫か?」
「…ええ。 大丈夫ですわ。 さぁ、もうすぐ着きますわよ。
 船乗りさん、あの岩の向こうまで送ってくださるかしら?」
「…いいだろう。 だが、ここで待っているのは俺もごめんだ。
 帰りの足は自分たちでどうにかしてくれ。 悪く思うなよ」

06懐かしの、我が城













「近くで見ると、本当にでかいな…。
 家が城だとは聞いてたけど、こんなにすごい城なら、隠さなくてもよかったんじゃないか?」
「ごめんなさい。 隠していたつもりはないのですけど…。
 でも、よくいるあの…お城に一日中座っているだけの女だとは、思われたくなかったのですわ」

たしかに、何の前情報もなしにこの城のことだけを知ってセラーナを見たら、ただの世間知らずなお嬢さんだと思っただろう。
もちろん、一緒に旅をして、彼女の人となりを知った今では、彼女が活気あふれる女性だと理解はしているが。

「よし、それじゃ、行こうか」
「あ、お待ちになって。
 …中に入る前に、言っておきたいことが…あるのですが…」


門へと続く橋を渡ろうとした俺を、セラーナが呼び止めた。
闇の中、かがり火の灯りが、憂いを帯びた彼女の顔を浮かび上がらせる。

「…大丈夫か? セラーナ」
「…シン。 ここまで連れてきてくださって、ありがとう。
 でも…中に入ったら、わたしはしばらく、自分の道を進むことにしますわ」
「…そうか」
「シン、わたしは…」

セラーナは何かを言いかけたが、そこで言葉を飲み込んでしまった。
これまでの旅で、彼女が野蛮な吸血鬼ではないことはよく知っている。
だが、彼女がいう『自分の道』とは、再び闇の中へと戻るという意味なのだろうか。
それとも…

「…あなたのお仲間は、ここの住人を皆殺しにしたがるのでしょうね。
 あなたは、もう少し話が通じると信じたいですわ」
「セラーナ…」
「中に入ったら、しばらく大人しくしていてくださいまし。
 段取りは、わたしが…」

そういうと、セラーナは門に向かって開門するよう呼びかけた。
少しの間の後、彼女の呼びかけに応え、城の門番が門を開けてくれた。

「シン、わたしの傍を、決して離れないでください。
 ここは本来、あなたの来るべき場所ではございませんから…」
「…わかった」

07わたしは…

「セラーナ…? 本当に君なのか? 信じられない!!
 主様!! みんな!! セラーナが戻ったぞ!!!」


城内に入ると、セラーナに気が付いた吸血鬼の一人が、大声でセラーナの帰還を伝えた。
この先に、彼らの主がいるらしい。

「わたしが来るとわかっていたようですわね」

08セラーナが戻ったぞ!

ゆっくりと奥へと進むセラーナについていくと、そこは広いホールになっていた。
何人かの男女が、食事を並べた長テーブルについて…?

まて、あれは食事なんかじゃない…!
人間の死体だ…!!

グシャ…ムシャムシャ…ボリ…ボリ…

「(ひどいもんだ…これじゃあ、まるっきり獣じゃないか)」

テーブルの上に横たわる死体に、そのまま貪りつく吸血鬼。
肉を食いちぎり、骨を噛み砕く音が、ここまで聞こえてくる。
時折顔を上げては澄ました素振りをするが、その様子には高貴さなど微塵もない。

09食事を並べた長テーブル

「長らく行方の知れなかった娘が、ようやく戻ったか」

俺が地獄絵図のような食卓に戦慄する中、威厳のある低い声が耳に入った。
見ると、食卓に囲まれた中心に、立派なヒゲを蓄えた壮年の男性が立っていた。

これまで吸血鬼には何人も出会ったが…彼からはいままで感じたことのないプレッシャーを感じた。
とてつもない、恐ろしいほどの威圧感だ。

「お父様…」
「…セラーナ? そうか、あのオッサンが…」

ついに、セラーナの父親と会うことができた。
長年離れ離れだった親子の再会。
普通なら喜ばしいことだが…この親子の再会には、そんな雰囲気は、ちっとも感じなかった。

10セラーナの父親

「(セラーナ…)」

険しい表情で父親と向き合うセラーナ。
その顔の下にあるのは、おそらく、別の感情なのだろう。

「(俺は…ここに彼女をつれてくるべきでは…なかったんだ)」

俺が彼女をここに連れてきたこと。
それが意味することを、俺は理解していたのだ。
だが、他にどうすればよかったというのだろう?

俺には、その答えを出すことができなかった。














次回予告
第14話 悪魔の契約! 吸血鬼の王、ハルコン。

11次回予告:悪魔の契約!
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テーマ:Skyrim - ジャンル:ゲーム

  1. 2016/05/28(土) 00:26:39|
  2. スカイリムRP シン
  3. | コメント:3
<<第14話 悪魔の契約! 吸血鬼の王、ハルコン。 | ホーム | 第12話 内戦! 帝国軍とストームクローク!>>

コメント

あとがき

赤い風車が映える真っ青な空。
こういう景色、私は大好きです。
でも吸血鬼は、そのとてつもない力と引き換えに、こんな素晴らしい景色を見る機会を失っていくんですね。

ハルコン卿は死を恐れるあまり、モラグ・バルに大量の生贄を捧げて純血の吸血鬼になったそうですが、それに見合ったものを手に入れたのでしょうか。
人として感じることのできるものの中にも、素晴らしいものはたくさんあるのに、それらを自由に感じることができない吸血鬼は、果たして強者と呼べるのでしょうか。

今回は、前半と後半で人と吸血鬼の違いを表現してみたお話しでした。

さて、ついにハルコン卿とご対面のシンくん。
スプラッター映画でも見ているような食卓はガクブルものですが、ここで素直に引き下がっては『漢』が廃ります。
さて、シンくんはこの困ったパパさんにガツンと一発言えるのかな?

続きはまた来週!(・∀・)+


【追伸】
金曜更新、間に合いませんでした。 これはもう、切腹してお詫びするしか…グフゥ
次回はきっと、間に合わせます(´;ω;`)ウウ…
  1. 2016/05/28(土) 00:42:50 |
  2. URL |
  3. シン #JalddpaA
  4. [ 編集 ]

Nadiaでございます♪( ´▽`)

カンテラさんについてはNadiaはあまり知らないのですが、ヴィアルモさんも随分な事を言いますねw
吟遊詩人目指している娘なんだから歌だって歌いたいって思うじゃんw
しかし、マンモスも驚いて空を飛ぶくらいの歌なら、怖いもの見たさで聴いてみたいものですw
とりあえずマイクは無しでw

セラーナさん遂に帰宅ですね〜
そしてお父様との感動?の再会ですなw

とはいえ城に入って早々に、明らさまにあんなオゾマシイ光景見せなくてもいんでないか!?
セラーナさんもあんな事をやっていたんだと思うと、今までの彼女のイメージがぶち壊しですなw
親父も親父で随分と挑戦的な態度を感じますね(;´Д`A
ハンニバル•レクター博士より凄い奴だ!

う〜ん
カンテラちゃんにマイク持たせて、カラオケで歌ってもらっている空間の方が、ずっと盛り上がりますなw

そうだ!
此処にカンテラちゃんに来てもらって、一曲歌って貰えばいいんだw
冒険がしたいらしいし(≧∇≦)
  1. 2016/05/30(月) 20:08:16 |
  2. URL |
  3. Nadia #-
  4. [ 編集 ]

Re: Nadia さん

カンテレちゃんについては、作者様ブログ『The Way Of The Voice』より、カテゴリ「【スカイリム冒険記】」の「私の歌を聴け!」あたりを読んでみると良いかもです。
『ジャイアンみたいな絶唱』というキャッチフレーズ、そして『マンモスが空を飛ぶ』一件は、作者様のブログから拝借したネタ(というよりプレイ中に発生した事実のようですw)をもとにしていますw
そう、フルートは鼻で奏でるんですヨ?(・∀・)+

また、ヴィアルモ校長は、決して彼女の歌を悪いと思っているわけではないんです。
ですが、いかんせんシャウトに匹敵する破壊力を持つ歌なので、吟遊詩人的にはちょっと自重するよう指導したわけですね。
床を転げ回って悶絶するほどショックを受けていたのも、彼女への指導が真剣であるからこそ。
この校長、指導はクールかつ厳しいですが、胸の内はハートフルなんです。カンテレちゃんを一流の吟遊詩人に育ててあげたいと願う校長の親心を、ちょっとだけ察してやってください^^

さて、ようやく帰宅のセラーナさんですが、早速飛び出したのはハルコン卿主催の恐怖の晩さん会
セラーナさんがモリモリムシャムシャしていたかどうかはわかりませんが、このRPにおける彼女は、その行為を良しとはしていません。
お気づきかと思いますが、この旅の途中、彼女には吸血のチャンスがいくらでもありました。
しかし、彼女は一切吸血を行っておらず、むしろ人間と変わらない食事を好むなど、他の吸血鬼とは明らかに違った行動をしています(というか、私がそうさせています)。

このRPにおけるドーンガード編は、彼女がヒロインであり、セラーナという一人の女性が、運命に翻弄されながらも、自らの迷い未練に立ち向かう物語です。
シンくんの役割は、そんな彼女を助け、導くことなんですね^^

セラーナがなぜ吸血鬼になったのか。
なぜ、父であるハルコン卿とギクシャクしてしまったのか。
そういった事情も、私なりに解釈して、描いていこうと思っています。
この「とある家族の物語」、目を離さず、しっかり見ていてくださいね!(ΦωΦ)+
  1. 2016/05/31(火) 00:48:29 |
  2. URL |
  3. シン #JalddpaA
  4. [ 編集 ]

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Author:シン
「The Elder Scrolls V: Skyrim」のロールプレイを公開しています。

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