The stray sorcerer -はぐれ魔術師冒険記-

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

第19話 冷風ヶ淵! 光無き眼に渦巻く憎悪。

ザブ…ザブ…

洞窟に水音が響く。 洞窟の中には水の溜まった通路が続いていた。
セオラングが泳がねばならないほどの水位があり、動くたびに水に足を取られてしまう。
どこから不意打ちされるかわからない上に、この足場の悪さ…。
俺たちは、慎重に慎重を重ねて、歩みを進めた。

「…クモの巣でいっぱいだな。
 どうやら、ファルマーだけじゃなく、でかいクモが湧いていそうだ」
「洞窟のフロスト・スパイダーは、頭上の死角から襲ってくるわ。 上に気をつけて!」

周囲を警戒しながら歩いていくと、それまで高かった天井が一気に低くなった。
向こう側には広めの空間があるようだが、クモの巣が邪魔をして、先がよく見えない。

01水の溜まった通路

カサカサ…

「!」
「うひっ! …むぐっ…」


思わず叫びそうになったフロッグの口を、リュシアンが押さえる。
びっしりと張ったクモの巣の向こう側から聞こえた音…。
間違いない。 この先に、フロスト・スパイダーが待ち構えている!









ズガァッ!!!

リュシアンの大剣がクモを蹴散らす。

通路を塞ぐクモの巣を焼き払うと、天井に身を潜めていたフロスト・スパイダーたちが、一斉に襲ってきた。
予想以上の数に驚いたが、リュシアン、サーシャ、セオラングは一瞬も怯むことなく、即座に攻撃に移った。

「後ろだリュシアン!」
「!!」

俺の声に気付いたリュシアンは、振り向きざまに剣を大きく薙ぎ払う。
跳びかかってきたクモは、真っ二つになりながらそのままの勢いで吹っ飛んでいった!
あの硬い甲殻が、まるで紙きれだ!

「おいおい、すごいな! 甲殻を剣でかち割るとか、どんな力だ?」
「ハハハ…どうにも不器用でね。 こんな荒っぽい戦いしかできないんだ。
 剣と魔法の両方が使えるお前が羨ましいよ」

優男と大男。
俺とリュシアンは互いの剣を認め合い、互いの背中を預けるのだった。

「ウーッ! ガウゥッ!!」

サーシャに襲い掛かろうとするクモに、セオラングが跳びかかる。
脚を噛みつかれたクモは暴れるが、そこに飛来したサーシャの矢が、クモの複眼に突き刺さった!
甲殻で覆われていない複眼を狙った、正確な射撃だ!

「ありがとう! セオラング! よくやったわね!」
「ワフッ!」

確かな実力、見事な連携。
二人と一匹の力に感心する俺に、彼らは笑顔で応えた。

「ギャーッ!! こっち来んなーっ!!」

バシュッ! バシュッ!

一方フロッグは、迫りくるクモにクロスボウを乱射していた。
射出された鋼鉄のボルトは、クモの甲殻を軽々とブチ抜いていく。 すごい威力だ! 
デタラメな射撃だが、フロッグの攻撃はあっという間に複数のクモを仕留めてしまった。

数分と立たぬうち、クモの群れは全滅した。

02クモの群れ

「なぁフロッグ。 お前のクロスボウって、どこで手に入れたんだ?
 俺が使っているクロスボウとちょっと違うみたいだが…?」
「あ、あー…こいつは特別製。 ギルドの仲介で手に入れたんよ。 出所はわからんけどね」
「そうなのか…クロスボウはほぼドーンガードの専用品だって言ってたけど、ドーンガードの他にも職人がいるのかもな」











「ゲッ…なんだコレ…?」

洞窟を進んでいくと、奇妙なものが転がっていた。
切断された、ヤギの頭だ…。

「この切り口、ファルマーの武器だな。
 …近くにいるかもしれない。 気を引き締めろ!」

ファルマーは視力を失っているが聴覚が鋭く、小さな物音を聞き分けては襲い掛かってくるという。
ここから先は、より一層の慎重さが要求される。

俺たちは、できるだけ水音を立てないよう、ゆっくりと進んでいった。

03ヤギの頭

「…!」

先頭を行くリュシアンが無言で立ち止まる。
暗がりに目を凝らした後、洞窟の先をゆっくりと指さした。
その指さす先に、何やら白っぽい人影…のようなものが動いている。

「(…いた!)」

とがった耳、眼球のない顔面、そして色素の抜けた肌。
あれがファルマー!? なんて悍ましい姿だ…!

「(この位置からだと…これ以上近付けないな…)」

ヤツらは水に浸かった狭い通路の左右にある、小さな足場に立っていた。
いかに目が見えないとはいえ、このまま進めば水音で気配を悟られてしまう。
水に浸かった足場で左右から襲われたら、ひとたまりもないだろう。
さて、どうしようか…?

「(…ここは私に任せて!)」

攻め手を考えていると、後ろからサーシャが肩を叩いた。
そうか! 彼女の正確な射撃なら、この狭い通路でも…!

04あれがファルマー!?

ゴゥッ…  ボンッ!!

洞窟の奥から炸裂音が響く。 俺が放ったファイアボルトだ。
突然響き渡った音に驚き、ファルマーたちは音の出所を探し始めた。
よし、かかった!

「(いくわよ!)」

背中を向けたファルマーに向かって、サーシャが弓を構える。
サーシャが立ち上がった瞬間に水音が立ってしまったが、爆音の出所探しに夢中なファルマーたちは、全く気付いていないようだ。

「…!」

サーシャが弦を弾き絞り、呼吸を止めた。
普段の穏やかな表情は一変し、獲物を狙う狩人の顔になる。
研ぎ澄まされた神経が、矢尻の切っ先でファルマーの心臓を捉えた…!

ヒュンッ!!!

空を切り裂く音がした。
直後、洞窟の奥へと走っていくファルマーの背中…肩骨と背骨の間を、サーシャの矢が貫いた!
この暗がりで、この精度。 サーシャの弓の腕前は本物だ。

「グフゥッ!?」

心臓を貫かれたファルマーが、口から血を吐いて即死する。
相方の異常に気が付き、もう一人のファルマーがこちらを振り向いた。

「グギッ!? ギアァァッ!!」

ファルマーは眼球のない顔面でもわかるほどに、怒りと憎しみをその顔ににじませる。
俺たちの存在に気付いたファルマーと、矢の撃ち合いになった。
だが、弓の腕前はサーシャの方が遥かに上のようだ。 サーシャは身を反らして矢を避けると、即座に反撃。
放たれた矢は吸い込まれるようにファルマーの眉間を貫き、一撃で仕留めてしまった。

「やったわ!」
「いいぞ、サーシャ!」


見事ファルマーを倒し、サーシャの顔がいつもの明るい笑顔に戻った。

05サーシャの弓

「それにしても…こいつら、聴覚だけでこれだけの射撃ができるんだな…」

サーシャの弓の腕前にも驚かされたが、俺はファルマーの異常な聴覚に戦慄していた。
行動からして知能はそれほど高くはないようだが、とても光を失っているとは思えない戦闘力だ。











ドスッ!

横一閃の一撃の後、返す刃がファルマーの首を一突きにする。
首から真っ赤な血しぶきをあげ、ファルマーはゆっくりと倒れた。

「よし、これで先に進めるな!」

狭い通路を進んでいくと、斧を手にした数人のファルマーが盾を構えて襲い掛かってきたのだ。
曲がり角で急襲されたため、サーシャの弓が間に合わず、接近戦になった。
だが、俺とリュシアンの連携、セオラングの援護によって、ファルマーたちは即座に蹴散らされた。

「よくやったぞ、セオラング!」
「ワンッ!」
「いいコね! 今夜のごはんは大盛りにしてあげるからね!」

ファルマーは強敵だが、彼らのおかげでここまでは順調だ。
このまま何事もなく、攫われた人たちを助け出せれば良いのだが…。

06首を一突き











しばらく進むと、通路がさらに細くなった場所に出た。

「これ…シャウラスの殻で作った垣根か?」

狭くなった通路の両側に、怪しげな風貌の衝立のようなものが立てられていた。
その材質は、ファルマーの武器に使われているシャウラスの甲殻のようだ。

「あいつら、武器だけじゃなく、こんなものも作るのか…」

どうやらファルマーは、ゴブリンや巨人のようにある程度の文化をもった『人に近い生物』のようだ。
道具を造れるならば火を扱える可能性もあるし、火を使えれば料理をすることも考えられる。
これまではやつらの凶暴性にばかり目が言っていたが、俺はファルマーの生態に興味を感じていた。

「なるほどなぁ…もしかすると、あいつら家とかも…」
「!!? シンッ! 足元ッ!!」
「っ!?」


垣根に気を取られていた俺を、フロッグが呼び止める。
フロッグの叫び声で、俺は足元にあった『何か』を踏む直前で踏みとどまった。

「よかった、危なかったじぇ…」

フロッグは一歩後ずさった俺の前にしゃがむと、足元の砂利を手でそっと払った。
すると砂利の下から、金属でできた円盤状の装置が出てきた。

「これは…圧力板?」
「わりーわりー。 暗がりでよく見えなかったんよ。 いやぁ、間に合ってよかったさー」

圧力板は、罠の作動スイッチとしてよく使われるものだ。
仕組みは簡単で、円盤に圧力がかかると作動し、罠を動かすスイッチにすることができる。
それにしても目を引く垣根の手前に罠を設置し、さらに砂利をかぶせて隠すなど、手口は巧妙だ。

「ちょい待っててな。 今、罠をどかすかんな」

07圧力板

ガシャァッ!!

「きゃっ!? 壁から槍が!?」
「あんなの喰らったら、ひとたまりもないな…。 なんて恐ろしい…」

フロッグは俺たちを下がらせると、離れた場所から圧力板を作動させた。
すると、狭くなった通路に無数の槍が飛び出した。
もしあのまま進んでいたら、ただでは済まなかった…。

「んー…と…お、これがいいな。
 リュシアン、ちょっと手をかしてくれっかー?」
「ん? わかった、どうすれば良い?」

08壁から槍

ガシャァッ!!

「うおっ! …っと、これでいいのか?」
「ウン、これでもう大丈夫だじぇ!」
「あ…なるほど、『重石』を置いて、ごまかしちゃうわけか」 
「ん? どういうことだ?」

フロッグは、リュシアンに一抱えほどある大きな石を持たせると、圧力板に置くよう指示したのだ。
当然、石の重さで圧力板が作動するのだが、石が載ったままなので、圧力板には圧力がかかったままになった。

「このテの罠は、圧力板に圧力がかかった時に、留め具が外れて動き出すんよ。
 でもって、その圧力がなくなった時に、元の位置に戻るようになってるんさー。 だから、重石を置いておけば…」
「そうか…留め具から外れたまま戻らないから、動かなくなるわけか…!」
「すごいわ! フロッグくん!」

さすがは一流の盗賊! 罠や仕掛けに関する知識と技術は並みではない。
フロッグがいなかったら、今頃俺は死んでいただろう。

「助かったぜ、フロッグ! ありがとな!」
「へへ…お安い御用だじぇ!」


09罠の無力化

フロッグのおかげで罠の無力化に成功した俺たちは、さらに先へと進んでいった。
それにしても、ファルマーにはつくづく驚かされる。
もし、こいつらが知恵を付け、組織だって攻撃してきたら…? 
そう思うと、ゾっとした。














次回予告
第20話 変態! 闇に飛び交う、地獄の羽虫。

10次回予告:変態!
スポンサーサイト

テーマ:Skyrim - ジャンル:ゲーム

  1. 2016/07/18(月) 00:32:39|
  2. スカイリムRP シン
  3. | コメント:3
<<第20話 変態! 闇に飛び交う、地獄の羽虫。 | ホーム | 第18話 怪事件! 消えた旅人の行方を追って。>>

コメント

やってきました冷風ヶ淵!
旅人や行商人を拉致監禁するナゾの集団と、ついにご対面です。


今回、ファルマーのアップを一枚撮影しましたが…この洞窟の探索って、とにかくグロ注意になりそうな絵面ばっかりですねA;´Д`)``
もちろん、シャウラスくんが参戦すると、この状況がさらに悪化すること請け合いです。
次回予告のSSを見て『キモいわ!』とキーボードをクラッシュした視聴者の皆さまに、深くお詫びを申し上げるとともに、次回はさらなるグロ絵が飛び交う恐れを示唆しておきます。
さすがの私も、シャウラスハンターはダメだと思うの(´・ω・`)

今回は区切りの関係で、パーティー活躍回にしました。
リュシアンの剣、セオラングの援護、サーシャの弓、そしてフロッグの罠解除。
それぞれの長所を活かした場面を作ろうと、このような展開になりました。
グロ注意回ではありますが、サーシャさんのセクシーなお尻などで、少しでもグロを濁そうと努力をした結果であります。
そうりゃあもう眼福ですとも。(;´Д`*)アフン

一肌脱いでくれたサーシャさんと、笑って許してくださった作者kuromimiさんにマジ感謝です!(o*_ _)o


さて、次回は洞窟の最奥へ。 例のあれが『HENTAI』…もとい、『変態』します。
一行は、連れ去られた人たちの残酷すぎる結末と、ファルマーの独特の生活ぶりを覗き見ることになります。
また、ファルマーたちの真価を目撃することにもなり、その脅威を体感します。
仲間たちのおかげでここまで順調なシンくんですが…果たして、この先もうまくいくのでしょうか?

今後もファルマーとは何度も遭遇することになるため、ここでしっかり経験を積んでおきたいですね!
乞うご期待!d(>ω<*)+
  1. 2016/07/18(月) 00:41:36 |
  2. URL |
  3. シン #JalddpaA
  4. [ 編集 ]

あ、危なかったじぇ・・・

さてさて、フロッグさんのクロスボウの出所が気になりますねえ(・∀・)ニヤニヤ
リュシアンさんとサーシャさん、さらにセオラングとけっこうなパーティーになっている訳ですが、それぞれにちゃんとした役割があって感服しております(o´・∀・`o)
クモの大群を蹴散らすシーンはすごい躍動感で読んでいて光景が浮かびました。
椿なら既にその場に居ないはず(ㆁωㆁ*)

ファルメルは確かに残忍で醜い生き物ですけど、お話でも出てきた家や罠を作って集団で生活をしているところを見るとなんだか一概に悪とも言えないさびしい種族ですよね・・・( ´・д・)
スノーエルフに戻れる方法があれば良いのに(つд⊂)
  1. 2016/07/31(日) 12:09:36 |
  2. URL |
  3. フィロン #-
  4. [ 編集 ]

Re: フィロン さん

今回はとてもバランスの良いパーティーだったので、各キャラの特徴を意識し、戦闘の中にそれらを活かすことを意識しました。
その甲斐あって、お褒めの言葉をたくさんいただいています。ヤッタゼ!d(>ω<*)+
椿傭兵団との共闘も必ず実現させるつもりでいるので、彼女たちの登場を気長に待っていてくださいね。
ダイジョウブ。クモが出てもシンくんが助けてくれますヨw

今回は個性の強いフォロワーたちなので違いを出すのは容易でしたが、いずれはオールラウンダーなフォロワーと同行することもあると思います。
その時、いかにして『似ていても違う』を表現できるかが、腕の見せ所ですね!
これからも『戦闘描写に定評のあるRP』を目指して頑張ります!(`・ω・´)+


スノーエルフについてですが、その成れの果てである彼らは、その生まれが故に種族全体が憎しみの感情で動いているようです。
知能の低下により、人間的な感情のほとんどが単純化し、もっとも強い『恨み』の感情だけが前面に出てしまったのでしょう。
何とも悲しい種族ですね。(・ω・`)ショボーン
ただ、知能は少しずつ回復しているとも言われているので、この先のシリーズではスノーエルフとして復活する者も出てくる可能性はあります。
その時、ドゥーマーとの間に何があったのかがわかるかもしれません。(ΦωΦ)+
このRPでも、いずれはその辺りの謎を掘り下げてみたいですね!


【追伸】
フロッグが使うクロスボウは、『Jarl crossbow(族長のクロスボウ)』というMODのクロスボウです。
このRPでの設定では、とある職人が製造した一点もので、ドーンガードが使っている量産品と比べると貫通力に優れています。
一応、製造した人も考えてありますので、いずれはそのバックストーリーが語られるかも知れませんw

  1. 2016/07/31(日) 19:04:46 |
  2. URL |
  3. シン #JalddpaA
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

シン

Author:シン
「The Elder Scrolls V: Skyrim」のロールプレイを公開しています。

このブログはリンクフリーです。
よろしくお願いします!

最新記事

検索フォーム

カテゴリ

もくじ (1)
スカイリムRP シン (54)
キャラクター設定資料 (1)
スカイリム MOD紹介 (3)
雑記 (3)
自作MOD (1)

月別アーカイブ

最新コメント

リンク

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

アクセスカウンター

RSSリンクの表示

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。